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ひっこし
2011.12.02
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私は、というかくねくねは引っ越しを三度している。最初が新浦安、そこから神奈川県の方の相武台前という駅付近に引っ越した。しばらくして、東京都中野区の方南町へ、そして今は渋谷区代々木上原に住んでいる。方南町が一番長く住んでいて五年ほどだったろうか。唯一の一階の部屋で、出窓が二つある部屋だった。

新しい部屋に住むということは、それほど苦ではないが、「引っ越し」そのものは、私や息子にとっては、拷問に近いほど辛いものである。移動に慣れた猫であれば、それほどストレスに感じないのだろうが、滅多に移動させられることのない私たちにとってキャリーバッグに入れられて移動するというのは、恐怖以外の何ものでもない。

まず、ひとつはキャリーバッグに入れられるということは、だいたいが病院に連れていかれることを意味する。病院に行って楽しかったことなど一度もない。知らない人たちに囲まれて、掴まれて、あげく目の中に何か入れられるは、口の中にハサミのようなものを入れられて何がぐぎっととられるは、針まで時に刺される始末である。一瞬宗教の意味を悟りそうになるほどの恐怖と絶望を感じる時間を過ごすことになる。

「ポンちゃんのためなんだよ」と言われるが、それは風が吹けば桶屋が儲かる話しほど、直結しないお話である。私のためなら、うちのなかで撫でる、遊ぶ、そしてシーバのレトルトを二袋を私のためだけにお皿にあけるなんてことをして欲しい。針を刺されることが私のためになるそうの経路が理解できない。エジンバラとかモルジブ諸島を経由するほど長い経路に違いないと思う。



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そんな経験をしているのだから、キャリーバッグでごとごと移動させられることの恐怖は相当なものである。加えて不慣れであるので、運ばれた結果どうなることも予想が難しい。ちゃんとうちへ帰れるのか、いつ帰れるのか、捨てられやしないか、さっきまでの平穏な日々はもう戻ってこないのか、というかもう何が起こっているのか起こるのか、分からない、そんな恐怖や不安が解消されないままバッグの中にいれられる続ける。私に「大丈夫だよ」とくねくねは声をかけてくれるが、先の病院での「ポンちゃんのためだよ」と言いつつ、針を知らないおじさんに刺されるのを彼は傍観していたという記憶が、やすやすとその「大丈夫」を信じさせてはくれない。



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先のことをある程度考えられる人間には想像が難しいだろうか。例えるなら、くねくねが突然、目隠しをされて黒塗りのワゴン車に入れられてどこへ行くのか分からないままずっと移動されるようなものだ。そしてその間に、くねくねの好きなおでこの元へ、おでこの好きなロッテマリーンズの今江が尋ねてきて、新しくマンションも買ったし、一緒に暮らそう、そしてこの部屋は勝手に引き払おうと進言しているかもしれないという不安に、くねくねが襲われるようなものだ。帰られるのか分からない。うちもなくなるかもしれない。好きなヒトとももう一緒にいられないかもしれない。

そういう不安と恐怖だと言えば、少しは理解してもらえるだろうか。
それくらい私と息子にとって、ひっこしは恐ろしい。



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ただし、それは移動の間の話で、ひっこししてしまったあとは、それほど辛いわけではない。新しいうちにつくとまず私たちはすぐに探検を始める。一番最初にすることは危険なものはないかという調査とできるだけ安全な場所はないかという調査になる。それがひと通りすむと少し落ち着く。それからしばらくの間はとても忙しい。まず、家具がどんどん置かれたり、組み立てられたり、移動したりして、めまぐるしく環境が変わる。昨日までのセーフティースペースが突如なくなったりする。だから私たちは毎日探検する。夜には息子とどのへんが安全そうかという話し合いをすることだってある。



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しかししばらくすると快適な場所探しになってくる。日当たりの良いところ。暖かいところ。ふかふかなところ。高いところ。そういう場所を少しずつ探して比較検討していく。これはちょっと楽しい。私たちには、場所にブームがあったりする。最近ここがアツい!みたいなホットスポットが生まれて、それが変化していく。またヒトもけっこう気遣っていろんな場所をこさえてくれたりする。そういうのもなかなか悪くない。



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話が逸れたかしら。ようは引っ越しはとてもつらい。が、引っ越してしまえばそれほど辛くない。引っ越しの途中の辛さは相当なので、どうかあまり頻繁には引っ越ししてくれるなと願っている。いっそ広い広いうちへ一度引っ越してしまって、大規模な模様替えを定期的にして、それで気が済んでもらえたらありがたい。もしくはドラえもんのどこでもドアで引っ越してくれるなら、それほど嫌でもないかもしれない。



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今のうちは比較的広いし、いろいろなものがあるし、模様替えもたまにするしで気に入っている。できればもう少し窓をあけてもらいたい。それから車の音を今の三分の一くらいにまで減らして欲しい。耳で感じる世界というのがあるのだ。



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まえのうちは狭くてとっちらかっていたが、そとから聞こえる音や風がなかなか良かった。一階だったこともあるのだろうか。少しだけ花の香りがすることもあった。でもいずれにしろ、



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暖かくて、日当たりが良いと大変ありがたい。
太陽のない世界にだけは引っ越しはしないで欲しい。


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あ、そういえば、私の友達のやまもとゆみが本を出した。もちろん私は着物には興味がない。それでも読んでみたら、面白かったのは、着物に対して今まで持っていたイメージをポップに、それも上品に変換しているとこるだった。ゆみねえはそんなに器用な人間には見えないのだけれど、こうして本を見ると興味のない私にも興味を抱かせるものがあって、とても関心した。だから、ブログでも右下でおすすめさせてもらった。別に頼まれてはいませんからね。


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