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るす
2012.04.03
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ポン・プルクワです。


ここ約一週間、同居している人間たちがうちを留守にしていた。代わりに一階のケーキ屋の主人のまいこがご飯を用意してくれたりしたが、基本、うちにはヒトがいない状態が続いた。ヒトのいない状態が長引くと部屋のなかの匂いが少しずつ変わってくる。犬は人に、猫は家になつくと聞くが、あれはいかにも風だが、実のところだいぶ間違っている。犬のことはよくわからないが、私は生活環境が急激に変わることがとても「嫌」なのであって、ヒトを好いていようが引っ越しとかすごく苦手なだけだ。「家になつく」って上手いこと言っているようですごく間違っている。


ヒト不在が長引くほどに変わる匂いとは、ヒトの匂いが減っていくということを意味している。私や息子はなんだかんだで十年来の付き合いもあってクネクネ(同居人の男のほう)を慕っている。だから不在が続き、彼の匂いが消えて行くと寂しく思う。「寂しい」とはあって欲しいモノがないことに気づく、感情を指すと理解している。それで正しければ、私はクネクネの不在を寂しく思っていた。だからクネクネの座っていた椅子で寝たりベッドで寝たりして過ごした。


クネクネやオデコ(同居人の女のほう)がいなくとも、誰か他の人間がいると少しは気が紛れる。が誰もいないと不在の存在感が増す。猫の私はヒトのようにはつよく不安に思うことはないが、寂しいとは感じる。息子は私がいるので私ほどは寂しいと感じていない様子ではあったが、環境の変化に少しビクビクしていたようでもあった。


ある朝、夜が開けた頃に、クネクネが急に帰ってきた。ご飯をくれた後、彼はビールを飲んだりお風呂に入ったりした後、私たちと一緒に眠りについた。クネクネからは今までと違う匂い(それもちょっとキツイ香料を含んだ匂い)がした。でもそれから一日経った今、それらの匂いは徐々に減ってきて、いつもの匂いになってきつつある。


今日は嵐がくると聞いている。窓の外はすでに暗く、窓ガラスは水滴でぼやけて曇っているし、キッチンからは漏れ入る風の音が絶え間なく聞こえてくる。三日前から腫れ始めた左目もまだ熱を持っている。クネクネが目薬をさしてくれるがなかなか良くならないでいる。それでも部屋の中は暖かだ。クネクネがうちを出たり入ったり、あれやこれや忙しく動いている。そんなんだから、クネクネの匂いが部屋じゅうに埃のようにまって定着していく。家の中の空気がぐるぐると動く。私はすっかりくつろぎながら、窓から見える向かいの歩道で気違いじみてはためくノボリを息子とぼんやりとみて過ごしている。雨も風もぜんぜん怖くない。


もう少ししたら晩御飯。もう一眠りしようか。遊ぼうか。車が蹴散らす雨水の音に耳をすまして、記憶の整理でもしてみようか。なんし時の流れが心地よい。


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好きな誰かがいるの良いことだ。その代償が寂寥だとして私は辞さない。

雨よ降れ、風よ吹け。しっしっしっ。



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