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母猫のポン・プルクワです。
息子のカントとヒトの「くねくね」と「ちょろ」、それからわんこ2つと暮らしています。

息子が2つ前の夜に死んだ。
くねくねとちょろが、息子が間もなく死ぬということに気がついて側によりそいはじめたが、くねくねは仕事が終わらず側にでかちゃかちゃやっていて、息子に「ちょっとまってね」と言って急いで頑張っていて、死に際の息子は殊勝にその言葉に従って踏ん張って生きていた。そうなるまえにいちどうまく立てない脚を踏ん張って、猫ベッドから抜けだしてあたしの横にまで来きしばらくくっついていた。それが息子との最後のくっつきだということは分かった。そういうつもりで彼はほぼ最後の力を振り絞ってあたしの側にきたのである。呼吸は浅く体温は低く、身体は毛と皮のしたは骨だけみたいにごつごつとしていていた。尖った骨があたしの背中にめり込むのを感じた。しばらくして、息子は猫ベッドにひとりで戻ろうとするも出来ない姿を見かねて、ちょろだかくねくねが手伝って猫ベッドであるワイン箱の中に入る。その横にちょろが寄り添い、変化があれば都度すぐそばでマッコにむかってちゃかちゃかやっているくねくねに報告していた。息子がトイレに行きたそうにするとくねくねが、息子を抱いてトイレまで連れて行った。何もでなかったので、戻ってきた。

 それからしばらくしてくねくねの仕事が終わった。息子の側に戻ってきて、そろそろ良いだろうかという塩梅で、思い出話をはじめたが、それは長く続かなかった。それからしばらくはただ幸せだったとか偉いとか好きだとか愛しているだとか、そういう話になった。ずっと顎の下や耳の後ろなどを痛くないかさぐりながら撫でていた。息子はそれに満足したみたいで、それからくねくねとちょろがお風呂に入っている間に、影の足音みたいに静かに死んだ。

 風呂から上がってから少ししてヒトふたりは息子の死に気がついて、その身体を抱いた。死んでから息子は小便を漏らしたが、生きている間に一度ももらすことがなかったことをふたりは偉いと言って褒めて息子を撫でた。たしかに息子は、立てなくなってからも、トイレにはむばって向かっていた。ベッドに糞尿をもらしたことは生きている間、一度もなかった。

 あたしたち猫は喋られない。最後の言葉などない。本来は一人で静かに死ぬようでもある。息子は最後の生命の熱を遣ってあたしにくっついて過ごし、くねくねになでられることを待ち、ちょろの目を見た。

 死んだ息子を抱いたくねくねは「良かったね」と口にしていた。もう苦しまなくて良いという意味であるようだった。たしかに息子が癌になっていることがわかったのは昨年末頃である。それからずっと眠れないほど身体の中が痛いのに、ご飯をいっぱい食べて生きようとしてきた。もう休んでも良いだろうとくねくねは思ったようである。

 わたしは死体というものを上手く理解ができなかった。だけれど、不在はリアルであった。息子がいないということが今日になってはっきりしてきた。息子の死体は今日そとに持って行かれて、帰ってきたふたりの手には白い布のなにかがあって、カントの骨だと言っていた。ヒトは死体を焼くらしい。食べるわけでもないのに焼くのだ。宗教的な文化であるようだ。さすがに布を骨が入っているからといって、「ああ、息子が帰ってきたか」とは思えない。中も見ていないし。本当は中にミッキーマウスのぬいぐるみが入っていたら、馬鹿みたいである。

 とにかく息子が死んだ。

 息子が死んだ翌日、ちょろが丁稚(わんこ)たちと出掛けてから、くねくねとふたりになった。くねくねはあたしを抱いてヒトベッドに行き、あたしを抱いて横になった。久々にくねくねの脇の中で眠った。あたしにとっての初めて目の当たりにする死である。思うに、死がその存在を顕にするのはこれからのことであろう。すでに吐息の聞こえないこの部屋には不在の存在感が増している。

 猫として母としてヒトと暮らしてきて思うことであるが、大事なのは愛である。息子を愛し愛されてきて、それら全部包んで大事にしてくれるヒトがいて、そのヒトを好きなヒトが現れて側にいるようになって、死の存在感が増しても、なお、このうちは温かい。酒とタバコの匂いがするくねくねの体温を感じながら、あたしはそう思った。

 あたしはヒトのように過去を振り返ったり、感傷に浸ったりはできない。しかし幸福というものは理解しはじめたし、愛というものも知った。寂しく思うが、これからは息子の分のごはんもあたしが食べて良いことになるのかどうか、正直ちょっと気になっている。




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[ 2015.04.26 | 猫日記 | コメント: 5 | PageTop↑ ]

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